骨粗鬆症を予防して元気に長生き!

Doctor:
北澤正文

獨協医科大学医学部産婦人科講座

骨の病気、骨粗鬆症

骨粗鬆症(こつそしょうしょう)とは、骨強度、すなわち骨の質と密度が低下する病気です。骨の質が下がると、ちょっと転んだだけでも骨折しやすくなります。特に、大腿(だいたい)と骨盤(こつばん)の間で関節をつくっている大腿骨頸部(だいたいこつけいぶ)は歩行に重要で、この骨を骨折すると歩行困難になり、これがきっかけで寝たきりになってしまう高齢者が多いのです。骨は、実は新陳代謝(しんちんたいしゃ)していて、常に新しい骨をつくろうとして、骨の破壊と骨の形成を繰り返しています。このバランスが骨破壊に傾くと、骨はスカスカのもろいものになり、骨折しやすくなってしまいます。

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骨粗鬆症の治療法

骨の治療法の基本は、3つあります。

生活習慣の改善:骨形成に欠かせないカルシウムを不足させる動物性蛋白(たんぱく)の多い食事、ビタミンDやビタミンKの不足した食事、カフェインの摂り過ぎ、過剰(かじょう)なアルコール摂取(せっしゅ)、喫煙は避けましょう。

骨をつくる栄養素の摂取:カルシウムの摂取は骨形成には欠かせず、またビタミンDはカルシウムの吸収を促進します。ただし、これらは多すぎても問題があるため、適切な量をとることが大切です。

骨の新陳代謝のバランスを取る薬を使った治療:強力な骨吸収抑制作用のあるビスホスホネート製剤は、重症骨粗鬆症が対象になりますが、消化器症状、顎骨壊死(がっこつえし)に注意が必要です。選択的エストロゲン受容体調整薬も骨吸収抑制作用で使用しやすく、エストロゲンを中心にしたホルモン補充療法(ほじゅうりょうほう)も効果的ですが、乳がんや血栓症(けっせんしょう)に注意が必要です。また、活性型ビタミンD3製剤の併用(へいよう)をする場合もあります。