妊婦健診で行う検査

Doctor:
川﨑 薫

京都大学大学院医学研究科婦人科学産科学教室

妊婦さんと赤ちゃんの健康管理のために大切な妊婦健診では、どのような検査を行うのかみていきましょう。毎回共通する基本的な項目として、血圧測定と尿検査があります。妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病の早期発見のために必要です。妊娠中の体重管理は、赤ちゃんの適切な発育や、妊婦さんの妊娠高血圧症候群の発症予防のために重要なので、毎回体重を測定します。

【妊婦健診期間中の標準的な検査】

childbirth_4_01

それぞれの検査は何のためにするの?

① 血液検査
血液型はRh(-マイナス) 型やある種の不規則抗体が陽性の場合、赤ちゃんの赤血球が攻撃されて壊れ(溶血)、貧血となり、重症の場合は心不全や全身の浮腫をきたすことがあるために検査します。また、貧血がないか、糖尿病になっていないかを検査します。感染症の項目は、赤ちゃんへの感染を予防するために検査を行っておく必要があります。

② 子宮頸部細胞診(しきゅうけいぶさいぼうしん)
子宮頸がんの有無を調べます。妊娠中は子宮頸部の観察が難しくなるので、妊娠初期に行います。

③ クラミジア検査
陽性の場合は、赤ちゃんのクラミジア結膜炎(けつまくえん)、咽頭炎(いんとうえん)、肺炎を予防するために、抗生物質による治療を行います。

④ B群溶連性連鎖球菌検査
陽性の場合は、赤ちゃんに敗血症、髄膜炎(ずいまくえん)、肺炎を引きおこす可能性があるため、お産のときに抗生物質による治療を行います。

⑤ 経腟(けいちつ)超音波検査
妊娠初期の赤ちゃんの状態の観察を行います。妊娠中期以降は、子宮頸管(しきゅうけいかん)の長さを測定し、切迫早産の兆候がないかを確認します(切迫早産では短くなる)。

経腹部(けいふくぶ)超音波検査
赤ちゃんの推定体重の測定を行い、お母さんのおなかの中で元気に成長しているかを確認します。また、赤ちゃんのからだの構造に異常がないかどうかや羊水の量や胎盤の位置の観察も行います。