妊娠ってどうやってわかるの?

Doctor:
川﨑 薫

京都大学大学院医学研究科婦人科学産科学教室

月経がなくなることは妊娠以外の原因でもおこりますが、月経周期が順調であった女性が、月経の予定日を過ぎても次の月経が来ない場合は、妊娠の可能性が高いと考えられます。実際に妊娠していると、吐き気や嘔吐(おうと)などのつわりの症状やだるさなどが現れます。また、少量の出血や下腹部の痛みをともなうこともあり、月経と間違えてしまうこともあります。どのように妊娠を確定するのかを説明します。

① 市販の妊娠判定キットによる検査
市販の妊娠診断補助試薬(にんしんしんだんほじょしやく)(妊娠判定キット)により、妊娠しているかどうかを検査することができます。このキットは妊娠初期に胎盤絨毛(たいばんじゅうもう)細胞より分泌(ぶんぴつ)される尿中のホルモンを検出するものです。検出感度が高く月経予定日当日から検査できるものと、月経予定日の約1週間後から検査ができるものがあります。使用する場合には、中に入っている説明書をよく読んで確認してください。妊娠判定キットは、あくまでも補助的に使われる試薬です。陽性となっても、流産や、子宮以外の場所に妊娠している「異所性妊娠(いしょせいにんしん)」などの可能性もあります。異所性妊娠の場合は、おなかの中で急に大量に出血することがあります。妊娠を確定するために、早めに病院での診察を受けましょう。

② 病院での診察
病院では経腟(けいちつ)超音波検査により妊娠の確定を行います。超音波検査により子宮の中に胎嚢(たいのう)(赤ちゃんの袋)が確認できると、妊娠と診断することができます。胎嚢は直径が2mm以上になると、超音波検査で確認できるようになります。この大きさは妊娠4 週後半に相当します。正常な妊娠では、妊娠4 週で約80%、妊娠5週でほぼ100%の確率で、子宮内に胎嚢を観察することができます。妊娠5 週後半から6週前半で、赤ちゃんの心臓が動いていることが確認できるようになります。赤ちゃんの心拍が確認できた場合には、最終月経(一番最後におこった月経)の開始日から分娩(ぶんべん)予定日を決定します。月経の周期は、妊娠の診断や分娩予定日を決めるときの大切な情報になりますので、普段から手帳などに記録しておきましょう。

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