からだの変化を楽しんじゃえ!

Doctor:
金子由美子

『季刊セクシュアリティ』

休み時間のたびに背を測りに保健室に来る男の子。一日中、ムダ毛を抜き続ける女の子。中学校の保健室の先生をしていると、からだの変化に不安を持っていたり、コンプレックスを持っている子たちにたくさん会います。脚が太い、胸が小さい、小顔じゃない…。女の子の多くが気にしています。男子ならもっと背が伸びないかな、とか、マッチョになりたい、とか。気になる気持ちはわかるけれど、自分のからだ全体ではなく、一部のパーツだけに固執(こしつ)して悩んでいるのは、考え方のバランスを欠いているようで、気になります。そもそも、みんな顔もからだの形も違って当たり前。ほかのことについては、「個性が大事」「個性を伸ばそう」というのに、からだのことに関しては、人と同じがいい、というのは、おかしいよね。

10代のからだは、みんな違って当たり前

10代はからだがどんどん変化する時期。そんな時期の人にメッセージしたいのは「からだの変化を楽しんじゃえ!」ということ。自分のからだがどう変わっていくかを意識してみましょう。たとえば女の子なら、月経周期を記録しておくと、「あ、生理前だからイライラしていたんだ」「この時期はすぐ泣きたくなるけど、もうすぐ終わる」などということがわかって、助けになりますよね。

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それから、正しい知識をつけることが大事です。「都市伝説」といわれるアヤしい情報はいっぱいあります。インターネットや雑誌に載っていることにもウソはたくさんあるし、お母さんが言っていることも、ひょっとすると今は違う話もあるかもしれない。本当のことを知るためには、きちんとした情報源から知識を得ること。また、「これはウソだな」とか「おかしいよね」と話せる友だちがまわりにいるといいですね。

いつだって、「自分のからだの主体者になる」ことが大切です。自分が何をしたいのか、どう生きたいか、を自分で決めましょう。恋愛をしたときも「彼がそう言うから…、嫌われるもしれないから」ではなく、嫌なことは嫌と言える関係性をつくることが何より大事です。あなたのからだは、あなたのもの。「将来、子どもを産むためにからだが大事」なのではなくて、産むか産まないかに限らず、あなた自身のからだだから、自分で大事にする必要があるのです。