「つわり」の乗り切り方

Doctor:
南佐和子

和歌山県立医科大学総合周産期母子医療センター

「つわり」とは、妊娠がわかる頃に気持ちが悪くなって吐いてしまうことや、食べたくなくなること、好きなものが変わることなどをいいます。多くの人におこりますが、ほとんどが妊娠16週頃には自然によくなります。中にはまったく食べられなくなって、体重がどんどん減っていったりすることがあって、これはもう病気として治療が必要ですね。先生に相談して点滴(てんてき)などで必要な栄養分を補ってもらいましょう。

つわりになったらどうしたらいいの?

まずは口に合うものを食べてください。この時期は栄養バランスは気にしなくていいので、何でも口にできるものを食べたいときに取ってください。頻回(ひんかい)に少しずつ食べることや、冷やすなど食べやすくする工夫も大切です。においのきついものは余計に気持ちが悪くなるので避けた方が無難です。水分をとることは一番大事です。甘いジュースなどでも栄養分の補給になります。おなかが空きすぎると余計に気持ちが悪くなるので、ジュースやスープで補います。「吐いても飲む! 食べる!」のがポイント。吐くのがつらくて食べられないなら、先生に相談を。妊娠したことやお産に対する不安、仕事に対する不安などでも、つわりはひどくなります。あまり深く考え込まないようにして、この時期を乗り越えることが大事です。

どんなときに治療が必要ですか?

体重がどんどん減っていくときや、からだがだるくて仕方がないときは、先生に相談してください。点滴で補えることがあります。たかがつわりと思っていると、妊娠悪阻(にんしんおそ)(つわりの激しいもの)や、ヴェルニッケ脳症(のうしょう)というビタミンB1欠乏症(けつぼうしょう)になって、後遺症(こういしょう)を残すこともあるので、注意が必要です。脱水状態がひどくなると、深部静脈血栓(しんぶじょうきゃくけっせん)という血管の詰まる病気も発生しやすくなります。ひどいときには入院したほうがいいので、その判断は先生にお任せください。

For Men

男性の思いやりがつわりを軽くする

パートナーの妊娠がわかってうれしいような複雑な気持ちだと思います。その上、つわりでつらいパートナーの様子に驚いていることでしょう。でも、こんなときこそあなたの力が重要です。いろんな不安を抱えているパートナーを優しくいたわってあげてください。話を聞いてあげるのもひとつです。思いやりで、つわりも軽くするはずです。