若い女性のトラブル①子宮筋腫

Doctor:
小西郁生

京都大学大学院医学研究科婦人科学産科学

子宮筋腫(しきゅうきんしゅ)はとてもありふれた良性腫瘍(しゅよう)で、30歳以上の女性なら3人にひとりは筋腫を持っています。ですから、産婦人科で「あなたは筋腫を持っていますよ」と言われても驚く必要はありません。症状がなければ、ふだんは忘れていても大丈夫。ただし年に一度大きくなっていないかどうか診てもらってください。「月経の出血量がとても多くて困る(過多月経)」「月経の痛みがひどくて薬局で鎮痛剤(ちんつうざい)を買っている(月経困難症)」といった症状があれば産婦人科を受診してください。産婦人科ではまずお話をよく聞いて、出血が多くて貧血になっていないか、血液検査を行います。そして内診や超音波検査で子宮が大きくなっていないかを調べます。良性の筋腫であることを確かめるために、MRI 検査を予約することもあります。不妊治療で通院中に「子宮筋腫が不妊の原因かも知れませんよ」と言われることもあります。

子宮筋腫で手術を受けた方がいいの?

良性の子宮筋腫で、症状がとても強い場合(出血の量が多い、月経痛がひどい)や不妊の原因になっている場合には、手術をおすすめします。子宮は残しておくため、筋腫だけを取り除く「筋腫核(きんしゅかく)出術」という手術となります。これには、腹腔鏡(ふくくうきょう)を使った手術と下腹部を切開する開腹(かいふく)手術があります。腟(ちつ)のほうから内視鏡(ないしきょう)で取ることができる場合もあります。筋腫の場所や大きさによって手術の方法が変わってきます。

子宮筋腫に対して薬や注射による治療はないの?

子宮筋腫は女性ホルモンの働きで、しだいに大きくなってきます。ですから、卵巣(らんそう)からの女性ホルモンの分泌(ぶんぴつ)を抑える薬(点鼻薬(てんびやく)か注射薬)を使うと、月経がとまり、筋腫は小さくなります。けれど、その間は女性ホルモンが低下しますので、長期間続けるとさまざまの副作用(更年期(こうねんき)障害の症状、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)、高脂血症)がでてきます。ですから、根本的な治療法ではありません。筋腫を小さくしてから手術を行いたい、都合がつかないので手術をしばらく見合わせる必要があるなどの場合の、一時的な治療法となります。

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【子宮筋腫のMRI写真】

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