性感染症にならないようにするには?

Doctor:
上村茂仁

ウィメンズクリニック・かみむら

セックスおよびそれに準(じゅん)ずる行為(こうい)(キス、オーラルセックスなど)によって感染する病気のことを、性感染症(せいかんせんしょう)と呼びます。英語では Sexually Transmitted Infection、略してSTIです。Infection「感染していること」をDisease「病気」に置き換えて、STD と呼ぶこともあります。病気の元になる菌(きん)やウイルスは性器の周辺、精液、腟分泌物(ちつぶんぴつぶつ)、血液などにいて、セックスなどによって感染します。性器による性交だけでなく、オーラルセックス、ディープキスなどによっても感染します。クラミジア、淋病(りんびょう)、性器ヘルペス、尖圭(せんけい)コンジローマ、梅毒(ばいどく)、HIV感染症など15種類ほどの性感染症が知られています。また子宮頸(しきゅうけい)がんをおこすといわれているHPV( ヒトパピローマウイルス) も基本的には性(せいこうい)行為によって感染します。

セックスをしたら誰でも性感染症の可能性はある

性感染症は、風俗(ふうぞく)業の世界や特別な人だけにおこる病気ではありません。ほとんどの性感染症には自覚症状がありません。知らない間に感染していて、相手にうつしているという怖い状況があります。特にクラミジア感染症は、男女共にほとんど症状がありません。感染が長く持続した場合、クラミジアは組織を癒着(ゆちゃく)させながら広がります。卵管が閉塞(へいそく)して不妊症(ふにんしょう)の原因になったり、流産(りゅうざん)・早産(そうざん)の原因にもなります。ひどい場合はおなかの中全体に広がって腸管や内臓の癒着をおこし、激しい腹痛のため救急車で運ばれる例もあります。性行為経験があれば誰もが性感染症の可能性を持っているということを再認識する必要があります。また、オーラルセックスをした場合クラミジアや淋病をはじめとした性感染症が喉(のど)に感染します。HIV 感染もおこす可能性もあります。クラミジア、淋病、HIV 感染はコンドームを性行為の最初から確実につけることでほぼ予防できるのですが、オーラルセックスではつけることがあまりないため咽頭(いんとう)感染が広がっているのです。咽頭も腟(ちつ)と同様粘膜(ねんまく)ですから当然、性感染がおきます。

予防にはコンドームを!

予防として、性行為時には必ずコンドームをつけること。オーラルセックスのときも同様にコンドームは必要です。また、性行為経験がある人は一度性器や喉の性感染症検査を受けましょう。性感染症は治療可能な病気です。検査を受け、必要であれば産婦人科や泌尿器科(ひにょうきか)で治療してください。感染していないことが確認できて初めてコンドーム無しでの妊娠目的のセックスが可能になります。