妊婦さんのパートナーには何ができる?

Doctor:
木戸道子

日本赤十字社医療センター第二産婦人科

パートナーから「おめでた」を告げられたとき、うれしさとともに、「育てられるのか?」「自分たちの生活はどうなるのか?」など心配があるかもしれません。男性は、自分のからだに変化がおこらないので、パパになる実感はなかなかわかないものですが、親になる喜びや不安を分かち合っていきましょう。

赤ちゃんに声をかけましょう

最近は妊婦健診につき添うプレパパが増えてきました。超音波検査の画面で元気に動く胎児(たいじ)の様子をみて、産まれる日がますます楽しみになることでしょう。おなかが大きくなってくると手を当てて胎動を感じることができるようになります。赤ちゃんにぜひいろいろ話しかけてみてください。

今の生活を見直してみましょう

子どもが自立するまで育てるには、まず親が健康でなければなりません。パパになることをきっかけに禁煙にトライする人も多くいます。塩分やカロリーに配慮したバランスのとれた食事、規則正しい生活、適度な運動など、元気で長生きするための生活習慣を目指しましょう。

自分のことは自分で

家族が増えると家事育児の手間も増えますが、パートナーだけに任せきりにしないようにしましょう。自分の食器を片づける、脱いだ服を洗濯かごに入れる、使ったものをだしっぱなしにせず元の場所に戻す、など「自分のことは自分でする」自信がなければ、まずはそこから始めてみましょう。パートナーが急に入院して家のことが何もできない、物の在(あ)り処(か)がわからずに困ってしまうと大変です。子どものお手本になれる自立したかっこいいパパになりましょう。

プレパパが活躍できる家事はいろいろ

個人差はありますが、つわりがつらい妊娠2~4か月と、おなかが大きくなって動きづらくなる妊娠9~10カ月はパパのサポートが特にありがたい時期です。買い物、ゴミだし、お風呂掃除など力仕事はお任せ、とパートナーの負担を減らしてあげましょう。難しいメニューは無理でも、茹(ゆ)でる、炒(いた)める、など簡単な調理から挑戦すると料理のレパートリーも広がります。パパの優しいサポートが続くためには、お互い思いやりと感謝の気持ちをもつことが大切です。

妊娠・分娩やさまざまな制度について知っておきましょう

自治体や産院が開催する両親学級・父親学級などにはなるべく参加して、妊娠・分娩(ぶんべん)を迎えるパートナーをサポートできるよう知識を深めましょう。パパ仲間のコミュニケーションのきっかけにもなります。ほかにも、地域の保育園、子育て支援センターなどの場所や利用方法、入園手続き、出産育児一時金や児童手当などお金のこと、産休や育休についてなど、パートナーと赤ちゃんのために必要な情報を、役所やさまざまなメディアを利用して集めておくと便利です。妊産婦向けの本や雑誌にも「パパの出番」「立ち会いの心構え」「妊娠出産にかかるお金」などお役立ち情報がいろいろ掲載されていますので、一度、目を通しておくと安心です。まだ少数ですが男性が育休を取得するケースもあります。会社に相談し、お産の立ち会い、退院のお迎えの日くらいはお休みが取れて、さらに退院後すぐの慣れない時期は少しでもパートナーと赤ちゃんと過ごせるといいですね。

心とからだのコミュニケーション

どんな子育てをしようか、名前をどうしようか、などお母さんといろいろ語り合いましょう。つらいことや心配なことも聞いてあげてください。赤ちゃんにとってパパとパートナーが仲よしであることは幸せなことです。おなかが大きくなってくると腰痛(ようつう)に悩まされたり、足元が見づらくなったりします。たまにはマッサージをしてリラックスしてもらい、外出時はパートナーの手をとって優しくエスコートをしてスキンシップも大切にしましょう。セックスはしてもいいですが、妊娠中の女性はその気になれないこともあります。彼女のペースを優先しましょう。おなかが張っているときは、控えた方がいいでしょう。また、感染症予防のため、コンドームをつけましょう。

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立ち会い出産について

最近ではお産に立ち会うパパが増えてきましたが、どんなお産を迎えたいかパートナーとよく相談しておきましょう。スケジュールが合わない、カップルのどちらかが立ち会いを希望しない、という場合は無理をする必要はありません。立ち会いの際には産院のルールにしたがって、パートナーの水分や栄養補給のお手伝いや優しい声かけをしながら新しい命を心安らかに迎えましょう。途中、彼女が苦しそうで心配になってしまうこともあるかもしれませんが、パパが側にいてくれるだけで心強く頼もしく感じるものです。出産の瞬間をともに迎える喜びは大きく、パートナーと赤ちゃんが愛しく思えることでしょう。