女性の排尿障害~治す方法はいろいろ

Doctor:
清水幸子

医療法人鉄蕉会亀田メディカルセンター 亀田京橋クリニック

女性の排尿(はいにょう)の問題には、尿もれや頻尿、トイレまで間に合わないなどが挙がりますが、その原因や治療法はいくつかに分かれます。

くしゃみで尿もれ…。腹圧性尿失禁

咳やくしゃみ、運動などおなかに力が入ったときに、ちょっとだけ尿がもれてしまった経験はありませんか?このような状態を腹圧性(ふくあつせい)尿失禁(にょうしっきん)といいます。尿をためる膀胱(ぼうこう)という袋の出口が緩んだタイプで、骨盤臓器(こつばんぞうき)脱(だつ)同様に、妊娠・分娩(ぶんべん)による骨盤底筋(こつばんていきん)の損傷、肥満、加齢による影響などが関係しておこります。腹圧性尿失禁は30歳以上の女性の3人に1人は経験があり、特に妊娠後期や産後は、かなり多くの女性が一時的に経験しますが、その後しだいに回復することが多いでしょう。お産の回数や肥満、加齢などによって症状が増悪し、日常生活に支障がおこることもあります。「恥ずかしいから…」「歳だから仕方がない…」「治らないものだ」と、治療をあきらめてはいませんか?腹圧性尿失禁は治せる病気です。症状の軽い人は、骨盤底筋体操という骨盤底筋を強化する体操でかなり改善されますし、予防法としても効果があります。症状が強い人には、負担の少ない手術療法が大変有効です。

何度もトイレに…。過活動膀胱

尿意切迫感とは「我慢することができない強い尿意が急に生ずること」です。トイレで下着を下ろす間もなく、我慢ができずにもれたり(切迫性尿失禁(せっぱくせいにょうしっきん))、水の流れる音を聞いたり手洗いで水に触れるなどの刺激で尿意切迫感(にょういせっぱくかん)がおきやすくなります。尿意切迫感があって、これに頻尿(ひんにょう)および夜間頻尿をともなう状態が過活動膀胱(かかつどうぼうこう)です。過活動膀胱では、尿意切迫感や切迫性尿失禁を気にして早めにトイレに通うようになり頻尿となりますが、軽度の場合などは少しずつ排尿感覚を延長することにより膀胱容量を増加させる膀胱訓練も有効です。症状が強い場合は、腹圧性尿失禁とは違って、手術療法よりも抗コリン薬という内服薬が有効ですので、お困りの人は一度専門医にご相談ください。