女と男って、どこが違うの?

Doctor:
加藤聖子

九州大学産科婦人科

私たち人間のからだをつくっている細胞の中には、からだをつくる設計図の役割をしている染色体が46本あります。そのうちの2 本が性染色体(せいせんしょくたい)と呼ばれ、男になるか女になるかを決定します。性染色体にはX染色体とY 染色体があり、XY の組み合わせは男に、XX の組み合わせは女になります。卵子(必ず X 染色体を持つ)と精子(X 染色体かY 染色体のどちらかを持つ)が受精してできる受精卵にY 染色体があると男に、なければ、自然に女になるというしくみなのです。

性器ができるしくみ

お母さんの子宮の中にいる胎児(たいじ)は、最初は男女の区別はありません。妊娠7週目以降Y 染色体があると精巣(せいそう)ができ、なければ卵巣(らんそう)ができます。精巣からは男性ホルモンがでて、男性の性管(精巣上体、精管、精のう)や外性器(ペニス、陰のう)ができます。卵巣からは男性ホルモンがでないので、自然に子宮、卵管や腟(ちつ)、陰核(いんかく)、陰唇(いんしん)になります。

思春期での変化

8、9 歳から17、18 歳までを思春期と呼び、この時期に性機能ができあがります。思春期になると、脳にある視床下部(ししょうかぶ)というところから、やはり脳にある下垂体(かすいたい)に指令がでて、下垂体から性腺(せいせん)刺激ホルモンが分泌(ぶんぴつ)されます。このホルモンは男では精巣に、女では卵巣に作用し、それぞれ、男性ホルモン、女性ホルモンが分泌されます。これらのホルモンは血流に乗ってからだのいろいろな部分に働き、男らしい、あるいは、女らしいからだをつくるのです。

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男性の場合

男性では、陰茎(いんけい)(ペニス)、精巣(せいそう)(睾丸(こうがん))が大きくなる、陰毛、体毛、ひげが生えてくる、筋肉がつき、からだつきががっちりしてくる、声変わりする、精通(せいつう)が来るなどの変化がおきます。ペニスの中には、海綿体(かいめんたい)というスポンジのような組織があり、興奮したり刺激を受けたりすると、血液が流れて膨張(ぼうちょう)して固くなります。これが勃起(ぼっき)です。勃起した後、精液がペニスの先にある尿道口から外へ飛びだします。これが射精(しゃせい)です。初めての射精のことを精通といいます。精液の中には精子のほかに、精のうと前立腺(ぜんりつせん)からの液が混じっています。

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女性の場合

女性は、乳房がふくらむ、陰毛・わき毛が生えてくる、皮下脂肪がつき、丸みを帯びたからだつきになる、初経がおこるなどの変化があります(女子のからだ、いつ、何がおこるの?参照)。初めての月経を初経と呼びます。平均12 歳頃に迎えますが、早い人や高校生になってやっと迎える人もいます。月経が始まると、月経周期ごとにホルモンサイクルがあり(月経周期の正しい数え方・基礎体温のつけ方参照)、排卵(はいらん)や月経はこのサイクルによりおこります。