日本人女性の死因別死亡数の1位は悪性新生物(がん)、2位は心疾患(しんしっかん)、3位は脳血管疾患です。2位と3位をあわせた心血管疾患の死亡数は1位のがんを上回っており、毎年16万人以上の女性が亡くなっています。女性の心血管疾患有病率は閉経(へいけい)の頃に上昇して男性を上回るようになりますが、その原因は女性ホルモンが失われて心血管リスクが上昇することにあると考えられます。閉経後の女性はそれまで以上に、心血管リスクを高めない生活習慣を保つように心がける必要があります。
メタボリック症候群は心血管系疾患のリスクを高めます。体脂肪は、余ったエネルギーをいざというときのために蓄えておく貯蔵庫で、内臓脂肪と皮下脂肪に分けられます。男性の肥満は内臓脂肪が中心で、特に腸の周辺に脂肪が蓄積され、メタボリック症候群の原因となります。女性の肥満は皮下脂肪が中心で、特に臀部(でんぶ)と大腿部(だいたいぶ)に脂肪が蓄積されます。閉経と共に女性ホルモンが失われると、女性でも内臓脂肪が蓄積されるようになり、男性型の肥満となり、メタボリック症候群を持つ人が増えます。40歳以上で公的医療保険に加入している人は、医療機関等で「特定健康診査」を受け、心血管リスクの評価を受けることができます。リスクが高いとされた人に対しては、「特定保健指導」が行われます。生活習慣の改善に努めましょう。保健指導を受けても心血管リスクが低下しない場合には、薬物療法も検討することになります。
こういった病気のリスクを抑えるためには、普段からの生活習慣の見直しが有効です。次の7項目をチェックしてみてください。
「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2012 年版」より