お医者さんがすすめる妊活①感染症の予防

Doctor:
岩下光利

杏林大学医学部産婦人科学教室

感染症の中には妊娠中ににかかると、妊娠に悪影響をおよぼすものだけでなく、赤ちゃんに異常をおこすものもあります。特に妊娠初期の感染症は影響がでやすいので、正しい知識を持って予防に取り組むことが大切です。風疹・麻疹の混合ワクチン(MRワクチン)のように、妊娠してからでは接種を受けられないワクチンもあります。妊娠を希望する時期に、前持って予防することが重要となります。また、妊娠中に感染症にかかったからといって、必ずしも悪影響がでるわけではありません。あわてず、産科の先生に相談しましょう。

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ワクチンで赤ちゃんを感染症から守れるの?

ここ数年、発症が増えているのが「風疹」です。妊娠初期に妊婦さんが感染すると、赤ちゃんに白内障(はくないしょう)や緑内障(りょくないしょう)などの目の疾患(しっかん)や難聴(なんちょう)、先天性心疾患(しんしっかん)をおこす可能性があります。ほとんどの女性は子どもの頃にワクチン接種を受けており、抗体を持っているのですが、まれに抗体のない人がいます。妊娠を考えている女性は、夫婦で風疹の抗体検査を受け、抗体が低い場合はMR ワクチンを接種しておきましょう。赤ちゃんに悪影響のある感染症は、ほかにはトキソプラズマ、サイトメガロウイルスなどが知られていますが、残念ながらワクチンでの予防はできません。性感染症にも胎児(たいじ)や赤ちゃんに影響するものがあります。もっとも多いのは性器クラミジア感染症で、胎児が産道を通るときに母親から感染し、結膜炎(けつまくえん)、咽頭炎(いんとうえん)、肺炎などをおこします。ほかには、性器ヘルペス、梅毒(ばいどく)などがあります。ほかにも、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、B群溶血性連鎖球菌(ようけつせいれんさきゅうきん)(GBS)、成人T細胞白血病(はっけつびょう)ウイルス(HTLV-1)、ヒト免疫不全(めんえきふぜん)ウイルス(HIV)など、多数の感染症があり、感染していないかどうか妊婦健診で検査します。もし感染の疑いがあったとしても、いろいろな方法で赤ちゃんへの影響を低減できますので、あわてず、先生と相談してください。

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家族の協力で感染症を予防する

赤ちゃんに影響する感染症は家族の協力で防げるものもが多くあります。最近流行している風疹では夫が抗体を持っていない場合、ワクチン接種を受けて家族内の感染を防ぐことがすすめられます。リンゴ病も家族から妊婦への感染が多いので、家庭内に感染者がいる場合は病院を受診し、マスクや手洗いなどの感染防止をしましょう。性感染症は妊婦が治療しても夫が感染していると性交により再感染してしまいますので、性交を控えたり夫の検査・治療をすることが重要です。