性暴力とは、性的な要素を含んだ行為を暴力や誘惑などで相手に強要することをいいます。たとえば乗り物の中やスーパーやコンビニなどでの痴漢(ちかん)、恋人間での性暴力(デートDV)、レイプ(他人・知人)、上級生などからのセクシャルハラスメント、性的ないじめ、エスカレーターや電車などでの盗撮(とうさつ)、リベンジポルノ(裸(はだか)の写真をインターネットなど公衆の場にさらす、脅(おど)しに使う)などがあります。
恋愛関係はお互いに相手が好きで相手を思いやる気持ちが出発点になるはずです。にも関わらず、自分が安心したいために相手を束縛(そくばく)し、自分の都合に合わせて相手を行動させるような状況を、デートDV といいます。加害者が被害者に対してジェンダー的行為(彼女は彼氏のいうことを聞くもんだ)、束縛行為、性行為、金銭的行為などを行うことです。一方的に要求を伝えても相手はいうことを聞いてはくれません。なのでその行為を実行させるためにアイテム(暴力)が使われることになります。
一般に被害者は加害者のことを怖く感じることがあります。このようなことから性的な強要も行われており、望まれない妊娠や性感染症などの被害が増えています。寂(さび)しいから、相手がとても優しい人だからという理由でお互いの関係はどんどん深まっていきます。ひとりぼっちでも寂しくないように何でも話せる友人をつくることが大切です。そのためにも部活や趣味のグループなど積極的に参加して、孤独な時間を少なくしましょう。またその関係は、仲間とつながる機会を増やすことにもなります。
セクシャルハラスメントとは、力を持った人がその立場を利用して、相手に性的な行為や行動を強要することです。たとえば上級生や先生などから、断っても食事やデートにしつこく誘われる、からだに不必要に触られる、聞くにたえない性的な冗談(じょうだん)を言われる、プリクラやいっしょの写真を無理やり撮(と)らされる、あなたが断ったり抗議したりすると部活や学校で悪い立場に追いやられるなどです。これは相手が100%悪いのであなたに落ち度は何もありません。
好きな相手には何でも許してしまう、相手が希望することはできることならかなえてあげたい、また信頼する相手だから大丈夫などの考えで、パートナーからの希望に合わせて自分のアップ写真、全身写真、または裸(はだか)の写真を携帯やネットで送ることがあります。お互(たが)いが仲のいい間は問題はおきませんが、別れた場合、その報復として、それらの写真をインターネットなどで不特定多数に配布・公開していやがらせに使うことがあります。このことを「リベンジポルノ」といいます。インターネットや撮影機能のあるスマートフォンなどが普及(ふきゅう)して、このようなトラブルが急増しています。ネットは公共につながっています。いくら相手が好きだといっても、ネットを通じてパートナーに写真を送るということは公共一般の人たちにも配布される恐れがあることを知っておくことが大事です。また、いつまでも仲のいい関係は続かないことを知っておいてください。
みなさんは何も悪いことはありません。どんな状況であれあなたが望んでいない性的行為を強要した相手が悪いのです。このままだとあなたの心が壊れてしまいます。誰か信頼できる大人に相談してください。ひとりで難しいようならまず話せる友人、先輩、兄弟に相談し、いっしょに大人に相談してください。今では、警察・病院・児童相談所・婦人相談所・NPO の手続きが同じ場所ですべてできるワンストップセンターを立ち上げている県もあります。
自分が寂(さび)しいからとか、自信がないからといって、パートナーにすべて依存するのは間違いです。まして、「女は男に従うべきだ」と思っている人は、大切なパートナーを自分の満足のためだけに利用することになってしまいます。「彼女だから自分だけに依存したらいい」「自分が守っているのだから自分の欲求も聞いてくれるのが当たり前だ」、そんな考えがあなたをデートDV や性暴力の加害者にします。あなたが相手によかれと思って勝手にしていることは、相手にとって幸せなことではありません。人を好きになるということは相手の幸せを考えながら行動することです。絶対に別れないといったり、ストーカー行為をするのはただの執着です。本当に好きでつき合うのであれば、相手がもし別れたいと言ってきたなら、相手の幸せを考えて別れることができるはずです。つき合うとはそういうことです。