やせすぎ、肥満の女性への影響

Doctor:
平井千裕・竹田 省

順天堂大学産婦人科

やせ、肥満(ひまん)はBMI( 体重(kg) ÷ 身長²(m)) で判定し、BMI < 18.5 が「やせ」、BMI ≧ 25.0 が「肥満」と定義されます。食生活の欧米化によりわが国でも、現在、全人口の19.4% が肥満だとされています。一方で、美容やダイエットによる過度な食事制限により、特に10~30歳代にやせすぎの女性も増加しています。やせは全人口の11.4% で、前年に比べると20 代では21.8% と下げどまり、30 歳代は17.1% と増加傾向にあります。肥満もやせも、性機能や妊娠に大きな影響を与えるので注意が必要です。

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肥満

肥満の63% に無月経、稀発(きはつ)月経、過少月経がおこります。卵巣(らんそう)からの女性ホルモンだけでなく、副腎(ふくじん)や脂肪(しぼう)組織からの男性および女性ホルモンの異常産生・分泌(ぶんぴつ)が加わることで、月経不順・排卵(はいらん)障害となり、不妊症(ふにんしょう)の原因にもなります。また、女性ホルモンが長期間持続的に作用すると、子宮内膜(しきゅうないまく)が異常に増殖(ぞうしょく)し、不正出血や子宮体がんも多くなります。妊娠中や分娩(ぶんべん)に際しても、リスクが大きくなります。

やせ

ダイエットや運動などで体脂肪率が22%以下になってくると月経不順、月経異常がおこりやすくなります。精神的・心因的因子によるやせでは、卵巣(らんそう)ホルモン以外のホルモンにも異常がおよび、しばしば無月経になります。体重が5kg以上あるいは10%以上の減少、体脂肪率が17%以下になると、体重減少性無月経に陥ることが知られています。また、女性ホルモンの分泌減少は骨にも影響し、骨塩量が減少することにより、骨折が多くなります。近年、やせた妊婦さんが増え、低体重の赤ちゃんが増えていることも問題となっています(妊婦さんの体重管理の新常識出生児体重と赤ちゃんの発育参照)。思春期にやせにより月経異常や摂食障害(ダイエット、拒食・過食参照)を起こした妊婦さんは、妊娠や出産に問題を抱えることが多いのです。

思春期は、一生つき合っていく自分のからだをつくる大切な時期です。しっかり食べて、運動して、健康なからだを作っていきましょう。