女性特有のがんとして代表的なものは乳がん、子宮がん、卵巣(らんそう)がんです。子宮がんには子宮の出口にできる子宮頸(しきゅうけい)がんと、赤ちゃんが妊娠するところにできる子宮体がんがあります。がんの多くは高齢になるほど発症リスクが高まるため、若い女性にはあまり関係のない病気だと思われがちですが、女性特有のがんは若年化が進んでいて、20 歳代、30 歳代で発症するケースが急増しています。
乳がん(若い女性のがん①乳がん参照)は日本人女性がもっともなりやすいがんです。早期発見には、定期的な自己検診とマンモグラフィ検診が必要であり、40歳以上で2年に1回の検診が推奨されています。しかし、40歳未満でも乳がんになる可能性はあるため、乳房のしこりなどに気づいたら医療機関を受診しましょう。
子宮頸がん(若い女性のがん②子宮頸がん参照)は性交渉(せいこうしょう)により感染(かんせん)するヒトパピローマウイルス(HPV)がほとんどの原因となっています。ありふれたウイルスで、セックスの経験があれば一生に一度は感染するといわれています。子宮の出口を綿棒(めんぼう)やブラシでこすり、子宮頸部の細胞を直接採取して顕微鏡(けんびきょう)で正常か異常かを判定します。がんになる前の病変もわかります。子宮頸がん検診は20 歳以上で2年に1回となっています。
子宮体がん(増えている子宮体がん!参照)は多くの場合、女性ホルモンの影響により発生し、近年、増加傾向にあります。子宮体がん検診は子宮の奥に細胞を採取する器具を挿入して行いますので、少し痛みがあります。一般的には50歳以上で不正出血がある人を対象に行われています。また、通常の住民検診で行われている子宮がん検診は子宮頸がん検診ですので、子宮がん検診で異常がなかったからといって子宮体がんが大丈夫なわけではありませんので注意してください。
卵巣(らんそう)がん(若い女性のがん③卵巣がん参照)は初期症状が少なく、おなかに水がたまったり、腫瘍(しゅよう)が大きくなったりして初めて自覚症状がでるため、早期発見が難しいといわれています。しかし、有効な卵巣がん検診は確立していません。前述の子宮がん検診のときに超音波検査で卵巣の状態を確認すれば早期発見につながることもあります。
がんは早期発見・早期治療が重要です。日本は諸外国に比べてがん検診の受診率が低いことが問題になっています。この章をお読みになり、「受けていないがん検診」がありましたら、すぐにでもがん検診を受けることをおすすめします。