「死ぬまで元気」を実現するために

Doctor:
種部恭子

女性クリニックWe! TOYAMA

更年期の「更」は、「新しいものと入れかわる」を意味する!

女性は、人生の前半で「潤滑剤(じゅんかつざい)」である女性ホルモンを使い果たし、更年期(こうねんき)以降の人生の後半40年を、ホルモンのない状態で生きます。日本の女性は世界一の長寿。ヒトはどこまで健康に生きられるのか、人類の代表としてチャレンジを続けています。だからこそ、潤滑剤がなくなってからも自分の足で立って生きるために、ココロもカラダも「健康を育てておく」必要があります。これまでの人生、何を楽しみに、何にエネルギーを注ぎ、何を目標にしてきましたか? そして次の10 年、20年、ひとりで、ふたりで、あるいは誰と、どんな過ごし方をしますか? 仕事中心に過ごしてきた人の中には、家族との時間や自分の健康を後回しにしてきた人もいるでしょう。家庭の仕事や子育てを中心的に担(にな)ってきた女性の中には、妻として、母として、嫁として、娘として、家族の健康管理センターの役割を果たし、自分は後回しにしてきた人もいるでしょう。自分の人生は自分のもの。更年期を迎えたら自分の人生を見直しませんか? どんな生き方であれ、自分の足で立ち、自分の足で人生を歩むために、健康を育て、これからの自分に投資することをおすすめします。

自分の足で歩むことって?

女性の平均寿命は86.30歳、男性は79.55歳(平成22年)です。一方、自立し健康な日常生活を送れる「健康寿命」は、女性73.62歳、男性70.42歳(同)。その差、つまり介護(かいご)や医療にお金がかかり、地域社会での支えが必要になる期間は、女性で約13年、男性で約9年です。女性は男性より1.4倍、介護など人や社会の支えを要する期間が長いのです。できるだけ長く自立し、できるだけヒトのお世話になる期間を短くしたい。いつまでもいきいきと自信を持って生きたい。さて、できることは?

【平均寿命と健康寿命の差】

climacteric_16_01

生活機能を低下させ、介護を要する状態になる原因は?

第1位 運動器疾患(しっかん)(関節の障害、骨折・転倒)=「ロコモティブシンドローム」←予防できる!

第2位 脳血管障害(脳卒中(のうそっちゅう)など)←予防できる!

第3位 認知症

自分の足で歩くために…ロコモティブシンドロームを予防しよう!

からだを支えたり動かしたりするには、骨、筋肉、関節、神経などで構成される「運動器」の健康が大切です。加齢や病気で運動器の機能が落ちて、歩行や日常生活に支障がでている状態を「ロコモティブシンドローム(ロコモ)」と呼びます。進行すると介護(かいご)が必要になることも。いつまでも自分の足で歩き続けていくために、ロコモを予防し、健康寿命を延ばしていくことが必要なのです。下の表で、ひとつでもあてはまる項目があればロコモの可能性があります。ロコトレなどの運動で、しっかりと予防していきましょう。

【7つのロコチェック】

  1. 片脚立ちで靴下がはけない
  2. 家のなかでつまずいたり滑ったりする
  3. 階段を上るのに手すりが必要である
  4. 横断歩道を青信号で渡りきれない
  5. 15分くらい続けて歩けない
  6. 2kg程度の買い物をして持ち帰るのが困難である(牛乳パック2 個程度)
  7. 家のやや重い仕事が困難である(掃除機の使用、布団の上げ下ろしなど)

社団法人日本整形外科学会 ロコモパンフレット 2010年版より

  • 骨の健康を保つため、女性は更年期(こうねんき)の時期にホルモン補充療法(ほじゅうりょうほう)で先行投資をしよう
  • 骨の健康を考えて、食生活や習慣を見直そう(骨粗鬆症を予防して元気に長生き!参照)
  • 足を上げて歩き(つまづかないように!)、姿勢を保つために、筋力を維持しよう(ロコモ予防!)
  • 脳梗塞などの原因になる動脈硬化を予防しよう(メタボに注意!心臓や血管の病気を予防しよう参照)

ロコトレでいつまでも元気!

climacteric_16_02

男女とも、最後まで自分で人生を歩むために…

おふたりさまでも、おひとりさまになっても、自分で自分のマネージメントを!

  • 自分でお金の管理ができますか?
  • 自分で食事の準備できますか?…買い物をする、段取りをする、料理をする
  • 嫌なこと、ストレスをコントロールできますか?
  • 楽しいと思えることが、いくつありますか?
  • 自分で選んで決めることができますか?

ひとりで生きる選択をしている人はもちろん、ふたりで生きる選択する人にとっても、「自立」は健康寿命を伸ばすための備えです。